申告期限に間に合わなかったときのリスク
はじめまして。
駆け込み・特急のお客様緊急対応の税理士 川畑英之と申します。
こちらのWebサイトにご訪問いただきありがとうございます。
こちらのページでは、確定申告が期限に間に合わなかったときのリスクについて、法人と個人の場合に分けてご説明します。
税務申告のうちには期限後申告になったとしてもそれほど問題ないこともあります。
したがって、申告期限が迫っていてお急ぎのお客様にとって、その申告が本当に緊急性があるかどうかをご確認いただければと思います。
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【法人・個人共通】加算税と延滞税が課されます
確定申告を期限内までにしなかった場合において、納付すべき税額があるとき(※)は、その本来納付すべき税額に加えて加算税と延滞税というものが課されます。
納税額が大きいほど影響を受けることになります。
※期限内申告であれば納付すべき税額がなくても、期限後申告した場合においては納付すべき税額があるということがあります。
こちらの点についてはこのページの別の項目で説明していますので、スクロールして読み進めていただければと思います。
この加算税というのがなかなか厄介なペナルティです。
延滞税もなかなかのペナルティですが、加算税と比べると軽いです。
加算税は、納付すべき税額に一定の割合を乗じて計算します。
加算税にはいくつか種類があります。
課税割合もその種類ごと、条件ごとで異なります。
ここで関係するのは、無申告加算税、過少申告加算税、重加算税です。
(不納付加算税というものもありますが、ここでは無関係のため説明を省略します。)
無申告加算税
無申告加算税は、期限までに申告しなかった場合に課される加算税です。
無申告加算税の税額
無申告加算税の税額は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までの部分には15%、50万円を超える部分には20%の割合を乗じて計算した金額です。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
ただし、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までの部分には10%、50万円を超える部分には15%の割合を乗じた金額です。
ちなみに無申告加算税は5,000円未満の場合は納付する義務がありません。
※申告期限から1月以内に自主的に期限後申告して、かつ期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当するときは、無申告加算税は課されません。
過少申告加算税
過少申告加算税は、期限までに申告をしたものの税額が、本来納付すべき金額よりも少なかったときに課される加算税です。
過少申告加算税の方が無申告加算税よりも軽いペナルティとなっています。
その理由としては、申告をまったくしないことに比べれば、税額が本来よりも少なかったとはいえ、とにかく申告はした方がいくらかマシだろう、という配慮によるものだといえます。
過少申告加算税の税額
過少申告加算税の税額は、新たに納めることになった税金の10%相当額です。
ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。
ただし、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までの部分には5%、50万円を超える部分には10%の割合を乗じた金額の過少申告加算税が課されます。
ちなみに過少申告加算税は5,000円未満の場合は納付する義務がありません。
重加算税
重加算税は、税額等の計算の基礎となる事実を仮装・隠ぺいするなどした場合に、無申告加算税、過少申告加算税などに代わって課されます。
名前から想像できるとおり、相当重いペナルティです。
事実を仮装・隠ぺいするなどした場合とは、簡潔に言い換えると、脱税するためにあれこれ悪質な工作をした場合だと理解しておいてください。
重加算税の税額
無申告加算税に代わって課されるとき
納付すべき税額の40%相当額
過少申告加算税に代わって課されるとき
納付すべき税額の35%相当額
ちなみに重加算税は5,000円未満の場合は納付する義務がありません。
延滞税
延滞税は、納付しなければならない税額に対して課される税金です。
原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて計算されます。
要するに、利息のようなイメージです。
延滞税の割合
法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて次の割合で課されます。
※ただし、一定の条件を満たす場合には、一定の期間を計算期間に含めないという特例もあります。
① 納期限の翌日から2月を経過する日まで
計算対象の期間により2.6%〜7.3%
② 納期限の翌日から2月を経過した日以後
計算対象の期間により8.9%〜14.6%
ちなみに延滞税は1,000円未満の場合は納付する義務がありません。
【法人】申告期限に間に合わなかったときのリスク
法人の確定申告が期限内に間に合わなかったときのリスクは、直接的なものとして青色申告の承認取り消しが、間接的なものとして金融機関からローンを借りるのが難しくなることが挙げられます。
青色申告の承認取り消し
法人が2期連続で期限内に確定申告をしなかった場合には、青色申告の承認が取り消されます。
また、当該2期目から次のような不利を被ることになります。
その期の赤字を繰越せなくなります
青色欠損金の繰越控除といって、その期の赤字を繰り越して将来の黒字と相殺することができる規定がありますが、こちらを適用できなくなります。
また、青色欠損金の繰戻しによる還付といって、その期の赤字を繰り戻して前年以前の黒字と相殺して税金の還付を受けることができる規定がありますが、こちらも適用できなくなります。
赤字で納税する必要がないから期限後申告でもいいか、という考えは危険ですのでご注意ください。
少額減価償却資産の特例を適用できなくなります
30万円未満の減価償却資産を事業の用に供した場合に1事業年度において合計300万円までを一括して費用にできるという制度がありますが、こちらを適用できなくなります。
そのときは、対象となる30万円未満の減価償却資産は通常通り耐用年数にわたって減価償却していく必要があります。
したがって、控除できる減価償却費の金額が申告期限の前後で異なることになるため、期限内申告であれば納付すべき税額がなくても期限後申告では納付すべき税額があるということがありえますのでご注意ください。
金融機関からローンを借りるのが難しくなります
法人の確定申告が期限内に間に合わなかったときは、金融機関からローンを借りるのが難しくなるといっても過言ではありません。
申告期限に間に合わないと金融機関からローンを借りる際の審査でマイナス評価を受けることが多いようです。
また、ローン審査にあたって金融機関から領収証書や納税証明の提出を求められますが、納税が済んでいない場合には当然にそれらを提出することができないため審査は通りません。
ローンを借りることができないと最悪の場合、資金がショートして会社が倒産ということになりかねません。
ゆえに、納税という観点だけではなく事業資金の確保のためにもしっかりと期限内に確定申告をすべきだといえます。
【個人】申告期限に間に合わなかったときのリスク
事業所得や不動産所得がある方が青色申告をしている場合において期限内に確定申告をしなかったときは、青色申告特別控除の金額がたったの10万円になってしまいます。
(期限内申告であれば65万円または55万円の青色申告特別控除を受けることができます。)
青色申告特別控除前の所得金額が10万円超~65万円の場合には、期限内申告であれば納付すべき税額がなくても期限後申告では納付すべき税額があるということがありえますのでご注意ください。
青色申告特別控除前の所得金額が65万円超の場合には、期限後申告では納付すべき税額が増えてしまいます。
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